借金滞納や債務整理をすると、その事実が事故情報としてブラックリストに登録されます。
ブラックリスト入りしても、事故情報が一生残るわけではありません。しかし、ブラックリストという実態のわかりにくい存在は、借金がある方にとっては大きな不安要素であることは事実です。
そこで今回は、ブラックリストが一体何なのかをわかりやすく解説します。リスト入りの条件や登録期間、日常生活への影響、消し方もまとめているので、借金でお困りの方はぜひ参考にしてください。
目次
ブラックリストとは「お金に関する事故情報の記録」のこと
ブラックリストは、借金の滞納や債務整理をした事実を事故情報として残す記録のことです。
リストと聞くと帳簿や名簿をイメージしますが、実際にリストがあるわけではなく「事故情報が登録された状態そのものを指す言葉」というのが正解です。
ブラックリストに登録される条件には、
- クレジットカードやローンの返済を滞納した
- 債務整理をした
- クレジットカードを強制解約された
などがあります。
事故情報の登録期間は5〜10年で、一定の期間が経過すると自動的に削除されます。過去の取引実績や事故情報の登録状況は「信用情報の開示請求」をすれば、ご自身で確認することも可能です。
詳しい手続き方法はブラックリストを管理する信用情報機関に問い合わせが必要です。(詳細は後述しています)
ブラックリストに載る条件
ブラックリストに登録される条件には次のものがあります。
- 借金の返済が遅れる(延滞・滞納)
- 債務整理をした
- 過払い金請求をした
- 保証会社が返済した(代位弁済)
- 短期間で複数のクレジットカードに申し込んだ
ここからはそれぞれの条件を詳しく解説します。
1.借金の返済が遅れる(延滞・滞納)
ブラックリストに登録される条件の一つに、返済の延滞・滞納があります。
返済が遅れると、その情報が信用情報機関に報告され、ブラックリストに登録されるリスクが高まります。原則として一度の遅れで即登録ということはありませんが、滞納の期間が長く続けばいつ登録されてもおかしくない状態です。
ブラックリストに登録されると、その後は新規でのクレジットカード申込やローンの借入ができません。また、既存の信用取引にも影響が及び、いま所有しているクレジットカードが強制解約となる可能性もあります。
2.債務整理をした
債務整理とは、借金の返済が困難になった場合に法的手続きによって解決を図る方法です。
債務整理をした後は、その事実が信用情報機関に共有され、ブラックリストとして記録されます。自己破産や個人再生、任意整理には経済的再生を目指せるメリットがある一方で、信用面では一時的なデメリットが伴います。
債務整理による事故情報は、通常5〜10年で削除されるのが一般的です。
3.過払い金請求をした
過払い金請求は、貸金業者に対して過剰に支払った金利を取り戻すための手続きです。
過払い金請求を行うこと自体は法的な権利であり、本来であれば直接的にブラックリストへの登録理由にはなりません。以下に該当する場合は事故情報として取り扱われる可能性があります。
- 現在も返済中の借金に対して過払い金請求をした
- 引き直し計算※の結果借金が残った
引き直し計算の結果、借金が残らなかった場合も一時的にブラックリストに登録されるケースがあります。(借金が残っていないことを借入先が確認した後で削除されます)
※過去の取引履歴をもとに利息と借金額を計算し直すこと
4.保証会社が返済した(代位弁済)
ローンやクレジットカードの契約で、保証会社が設定されている場合において、本人が返済不能に陥った際に保証会社が代わりに支払いを行うことがあります。(代位弁済)
代位弁済が行われると、保証会社から信用情報機関への報告が行われ、ブラックリストに登録されます。
「保証会社が代わりに支払う」と聞いて安心する方がいるのですが、残念ながら代位弁済は肩代わりではありません。債権者に対しての返済義務はなくなりますが、代位弁済後は保証会社に対して返済をする必要があります。
ブラックリストに載るとどうなる?生活への影響
借金の滞納や債務整理によってブラックリスト入りすると、日常生活では以下の影響が懸念されます。
- クレジットカードが利用できなくなる
- ローンが組めなくなる
- 携帯電話やスマホ端末代の分割払いができなくなる
- 保証人になれない
- 引っ越し時の入居審査に通りにくくなる
ここからはそれぞれの影響について詳しく解説していきます。
1.クレジットカードが利用できなくなる
返済の延滞や債務整理後は、ブラックリストが解除されるまでクレジットカードの新規申し込みや更新ができません。
そもそもクレジットカードは、契約者の信用の上で使った分を後払いにできるカードのことです。利用料金を延滞し督促にも応じなければ、要注意人物として登録され、新規申し込みができなくなるのは当然といえば当然です。
また、すでに所有しているカードもじきに利用停止となります。クレジットカードに付帯しているETCカードも同様です。(クレジット機能がないものは引き続き利用可能です)
クレジットカードが利用できなくなった場合には、デビットカードに切り替えるのも一つの方法です。
2.ローンが組めなくなる
ブラックリスト入りしている間は各種ローンの審査が通りません。
住宅や自動車など高額なローンはとくに審査が厳しく、ブラックリスト解除後も借り入れできないケースがあります。
3.携帯電話やスマホ端末代の分割払いができなくなる
事故情報が登録されると、携帯電話やスマホ端末代の分割払いができなくなる可能性があります。
これは、新規契約や端末購入時に通信会社が申込者の信用情報を確認するためです。この時、過去の信用履歴に問題が見つかると審査に通りにくくなります。
携帯電話自体が使えなくなるわけではありませんが、ブラックリスト入りしている間の機種変更は一括払いでの対応が必要です。
4.保証人になれない
ブラックリスト入りしている間は借金の保証人になることができません。
なぜなら、保証人になるにも信用情報機関の審査が必要だからです。契約者が返済できなくなった時、保証人には契約者の代わりに返済する義務が生じます。
しかし、保証人に返済能力がなければ債権者は貸したお金を回収することができません。以上の理由から信用情報機関では保証人についての審査も行なっているのです。
5.引っ越し時の入居審査に通りにくくなる
ブラックリストに登録されると、賃貸契約の入居審査に通りにくくなることがあります。
入居審査が通りにくくなるのは、一般社団法人 全国賃貸保証業協会(LICC)に加盟している会社の物件を借りようとする場合です。LICCは借主の申込情報や家賃滞納の情報などを取り扱っており、事故情報がある申込者に対して審査NGと判断することがあります。
賃貸契約では定期的な家賃支払いが求められるため、過去の信用履歴が悪いと、家賃の支払いを滞りなく行えるかどうか疑問視されることが多いです。
もっとも、すべての不動産会社が保証会社を通すわけではないので、保証会社が不要な物件を選べば大きな問題はないと考えます。
5.短期間で複数のクレジットカードに申し込んだ
短期間に複数のクレジットカードやローンに申し込むことも、ブラックリスト入りする条件の一つです。
この行為は「申込ブラック」とも呼ばれ、信用情報機関には多重申込として記録されます。ブラックリスト入りする理由は、短期間に集申し込みが集中する=財務状況に不安があると判断されやすくなるためです。
借金や滞納がなかったとしても、申込ブラックは金融の信用度を下げる行為であることには変わりありません。よって複数のクレジットカードを希望する場合は、計画的な申込みが重要です。
ブラックリストの登録期間
ブラックリストの登録期間は、リスト入りした理由や信用情報機関によって以下のように異なります。
KSC | CIC | JICC | |
61日以上の延滞 | 約5年 | 約5年 | 約1年 |
3ヶ月以上の連続延滞 | 約5年 | 約5年 | 約5年 |
強制解約 | 約5年 | 約5年 | 約5年 |
任意整理/個人再生/特定調停 | 約5年 | 約5年 | 約5年 |
自己破産 | 約10年 | 約7年 | 約5年 |
事故情報が登録されるタイミング次第では上記期間より早くなることも遅くなることもあり得ます。
丸5年経ったからといってすぐにローンやカードに申し込めるわけではない点は注意が必要です。
ブラックリストに登録されているかどうかを確認する方法
ブラックリストに登録されているかどうかは、信用情報機関に情報開示をすることで確認できます。
クレジットカードやローンの契約に関する情報は、信用情報機関によって管理されています。各機関に問い合わせて開示請求を行うと、これまでの申込履歴や返済状況などの確認が可能です。
開示請求は各機関のウェブサイトからオンラインで申請することができます。オンライン以外では郵送での手続きにも対応しています。(いずれも手数料が発生)
信用情報機関は全部で3つあり、開示請求はクレジットカード会社や金融機関が加盟する機関への申請が必要です。
ブラックリストを管理する3つの機関
事故情報やローンの契約内容、クレジットカードの返済状況は次の3つの機関で管理されます。
- 全国銀行個人信用情報センター(KSC)
- 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
- 株式会社日本信用情報機構(JICC)
ローンやカードの契約内容や支払状況はそれぞれの機関が管理しますが、事故情報については3つの機関で共有されます。
ここからはそれぞれの信用情報機関の特徴をより詳しく解説していきます。
①全国銀行個人信用情報センター(KSC)
全国銀行個人信用情報センター(KSC)は、銀行・信用金庫・信用組合・信用保証協会などからなる信用情報機関です。
全国銀行個人信用情報センターは消費者信用の円滑化等を図るために、一般社団法人全国銀行協会が設置、運営している個人信用情報機関です。
KSCは銀行ローン全般の契約内容や返済履歴などを管理しています。
②株式会社シー・アイ・シー(CIC)
株式会社シー・アイ・シー(CIC)は、クレジット事業を営む企業で構成される信用情報機関です。
主な加盟会員は信販会社(クレジットカード会社)・リース会社・消費者金融会社・携帯電話会社などで、これらの加盟企業で利用したローン・クレジットカードの申込情報や支払状況などを管理しています。
③株式会社日本信用情報機構(JICC)
株式会社日本信用情報機構(JICC)は、消費者金融や信販会社、商工ローン業者など幅広い加盟会員からなる信用情報機関です。
管理される情報はKSCやCICとほぼ同じで、ローンやカードの契約内容や支払状況が登録されます。
ブラックリストの消し方
ブラックリストは借金の返済後、通常は5〜10年で削除されます。
時間が経過するまでは事故情報が残り続け、債務者(借金をした人)が自分で消すことはできません。ブラックリストを消す最善の方法は、ブラックリスト入りの原因となった借金問題を解決することです。
誤った情報が登録されている場合は削除依頼ができますが、事故情報が事実であれば借金を全額返済することがブラックリストを削除する第一歩となります。
ブラックリストや借金でお困りの方は、【りらいふ法務事務所】までお問い合わせください。自己破産の対応実績が豊富な専門家が、一人ひとりに合わせた解決策をご提案します。
ブラックリストにまつわる質問
ブラックリストについてお客様から多く寄せられるご質問と回答をまとめました。
Q.ブラックリストに載ると警察に情報が共有されますか?
されません。
ブラックリストを管理するのは信用情報機関であり、主に使用するのは金融機関やクレジットカード会社です。これは個人の信用履歴に関するものであり、警察とは異なる目的で使用されます。
補足ですが、金融事故とは別に、逮捕歴や検挙歴のある要注意人物が警察庁のデータベースに永久登録されることを「ブラックリスト」と呼ぶ場合があります。
Q.親がブラックリストに載ると子どもの学校に影響はありますか?
ありません。
ブラックリストは金融関係の情報に限定され、学校の教育や進学、受験などに関わる事項とは無関係です。
Q.ブラックリストとホワイトリストの違いは何ですか?
ブラックリストとは、おもに「借金の滞納や債務整理をした事実を事故情報として残す記録」のことを指します。
金融業界において、ホワイトリストは「金融庁の登録を受けた暗号資産交換業者(国内取引所)が取り扱う暗号資産」のことを指す場合が多いです。
Q.奨学金を滞納するとブラックリストに載りますか?
載る可能性があります。
原則として、奨学金の滞納が許されるのは3回目までと言われています。一度ブラックリスト入りすると5年間は事故情報が残る点に注意が必要です。
借金返済でお困りの方におすすめの「任意整理」
滞納を繰り返したり返済のために借金をするようになると、自力で完済するのが難しくなります。
もし返済が追いつかずお困りなら、弁護士や司法書士など借金問題のプロに相談することをおすすめします。
借金問題は「任意整理」という手段で解決できることが多いです。任意整理は借金(主に利息)を減額できる債務整理の一種で、裁判所を介さずに手続きできるのが大きな特徴です。
自己破産に比べて必要書類が少なく、基本的な手続きは専門家がすべて代行してくれます。任意整理をした事実は事故情報として登録されますが、家や車などの財産は手放さずに借金の減額が可能です。
また、任意整理の手続き中は一時的ではありますが督促がストップします。返済しない期間があることで気持ちに余裕が生まれる点は、任意整理をする大きなメリットとなります。
「返済日までにお金が用意できない」
「借金問題を解決したいが家族に知られるのは避けたい」
このようなお悩みがある方は、借金問題に詳しい専門家に一度相談してみてください。返済負担を減らす最善の方法を提案してもらえるはずです。
まとめ
借金滞納や債務整理をした事実は、事故情報として信用情報機関に登録されます。
ブラックリストと聞くと不安になるものですが、一生残るものではないのでまずはご安心ください。また、開示請求をしなければ家族や会社に知られることもないので、まずは地道に残りの借金を返済していきましょう。
どうしても返済が難しい場合は、弁護士や司法書士に依頼するのも一つの方法です。当事務所は任意整理の実績が豊富で、これまでに数多くの借金問題を解決してきました。
債務整理のプロが一人ひとりのお悩みにあった解決策をご提案しますので、どうぞお気軽にご相談ください。
りらいふ法務事務所への無料相談はこちらから