任意整理にかかる期間|和解までの流れや返済期間をわかりやすく解説

「任意整理が完了するまでの期間はどれくらい?」
「返済期間の決め方が知りたい」

弁護士や司法書士に相談し、債権者と交渉・和解へと進めていく任意整理。

すべての手続きを専門家に一任できる安心感はありますが、和解までの流れや所要期間は事前に把握しておきたいものですよね。また、任意整理後は何年かけて返済していくのか、返済期間はどのように決められるのかを知りたい方もいるでしょう。

そこで今回は、任意整理が完了するまでの期間と返済年数について解説します。任意整理後のブラックリスト掲載期間についてもお伝えするのでぜひ参考にしてください。

任意整理で和解するまでにかかる期間は3〜6ヶ月

専門家に任意整理を依頼〜債権者との和解が成立するまでにかかる期間は、およそ3〜6ヶ月が平均です。

任意整理は個人再生や自己破産のように裁判所を介す必要がないため、比較的短い期間で手続き完了となるのが特徴です。

任意整理 個人再生 自己破産
和解までの平均期間 3〜6ヶ月 6ヶ月〜1年 6ヶ月〜1年

ここからは手続き開始〜和解成立までの流れや必要書類を詳しく見ていきましょう。

任意整理の流れ

任意整理は次の流れで進めていきます。

  1. 専門家に相談
  2. 委任契約
  3. 受任通知の送付
  4. 取引履歴の開示請求
  5. 引き直し計算
  6. 過払金の返還請求
  7. 和解案の作成・和解交渉
  8. 和解成立

この流れの中での大きなポイントは、債権者に受任通知が送付されたタイミングで取り立てが一時的にストップする点です。

受任通知とは債務者に代わって専門家が手続きを行う旨を通知するためのものです。受任通内には督促や返済を停止させる効力があり、この効力は任意整理の手続きが完了するまで続きます。

債務者等が、貸付けの契約に基づく債権に係る債務の処理を弁護士若しくは弁護士法人若しくは司法書士若しくは司法書士法人(以下この号において「弁護士等」という。)に委託し、又はその処理のため必要な裁判所における民事事件に関する手続をとり、弁護士等又は裁判所から書面によりその旨の通知があつた場合において、正当な理由がないのに、債務者等に対し、電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は訪問する方法により、当該債務を弁済することを要求し、これに対し債務者等から直接要求しないよう求められたにもかかわらず、更にこれらの方法で当該債務を弁済することを要求すること。”(賃金業法第二十一条九号

受任通知の送付と同時に、これまでの借入状況がわかる取引履歴の開示も求めます。開示までの期間は1〜3ヶ月が目安です。

その後は取引履歴をもとに利息の引き直し計算を行います。債権者との交渉と和解締結にはそれぞれ1〜2ヶ月かかります。

任意整理の流れ|和解までにかかる期間や必要書類を詳しく解説

手続きに必要な書類

任意整理の手続きで必ず提出を求められる書類は次の2つです。

  • 本人確認書類(免許証、健康保険証、パスポートなど)
  • 印鑑

このほか、任意整理を依頼する専門家や借入金額に応じて次の書類が必要となる場合があります。

  • 収入を証明する書類(給与明細、課税証明書、源泉徴収票など)
  • 預金通帳
  • 借入先からの通知書類(契約書、借用書、督促状、内容証明郵便など)
  • 財産や資産がわかるもの(不動産登記簿謄本、車検証など)

任意整理を検討中の方は、手続きがスムーズに進められるようこれらの書類を手元に準備しておくといいでしょう。

交渉が長引く主な理由

任意整理の手続きが長引くのには以下の理由が考えられます。

  1. 債権者が複数ある
  2. 債権者が交渉に応じない
  3. 弁護士・司法書士費用の支払いが難航している

複数の業者に借金があり、すべての業者に対して任意整理をしようとその分時間がかかります。交渉になかなか応じてくれない業者もいるので、不安な時は都度専門家に進捗を確認することをおすすめします。

また、専門家への費用が支払えない場合は当然ながら任意整理を進めることができません。スムーズな借金解決のためにも、費用の支払いが遅れることのないよう注意しましょう。

もし遅れそうな時は、一人で悩まず弁護士・司法書士にご相談ください。

任意整理ができないのはどんな時?6つのパターンと対処法を紹介

任意整理の返済期間は3〜5年

任意整理後の借金は3〜5年かけて返済するのが一般的です。

ここからは返済期間の決定方法と返済中の注意点を解説していきます。

返済期間は債権者の判断によって決まる

任意整理後の返済期間は原則3年(36回)で、交渉次第では5年(60回)で応じてもらえる場合もあります

返済期間はあくまで債権者が決定するであり、任意整理の交渉自体が「任意」であるため、債権者がNOといえば和解成立とはなりません。

一方で、5年以上の長期返済に応じてくれる債権者もいます。返済期間は借金の額や取引履歴、返済実績などから総合的に判断されるため、長い間滞納なく返済を続けた実績があれば5年以上の長期返済が可能となるケースがあります。

ボーナスでの繰上げ返済も可能

任意整理では、ボーナスや臨時収入などで余裕ができた時の繰上げ返済や一括返済が可能です。

繰上げ返済や一括返済を希望する方は債権者にご自身で連絡をしてください。弁護士や司法書士が返済を代行している場合は、債権者ではなくまずは専門家に相談が必要です。

念のため補足しますが、任意整理によって将来利息が全額カットされた場合は繰上げ返済や一括返済をしても借金が減額されることはありません

返済中の注意点

任意整理後は、返済が滞ったり専門家の費用が支払えなくなるような事態は回避しなければなりません。

仮に返済や専門家の費用を滞納すると、

  • 借金の一括返済を請求される
  • 財産や給与が差し押さえられる
  • 専門家に辞任される

といった事態に陥ります。

もう一度任意整理をする再和解という手段もありますが、一度滞納した事実が残ってしまうと同じ条件での再和解が難しくなります

もし再和解ができなければ個人再生や自己破産などを検討しなければならず、これまで以上に労力と時間が必要です。

任意整理後に返済が厳しくなるようことがあれば、一人で解決しようとせずまずは専門家に相談してください。

任意整理をすると借金はどれくらい減るの?

任意整理で減額できるのは次の3つです。

  • 経過利息
  • 将来利息
  • 遅延損害金

元金は減額にならないので、任意整理後も返済義務は残ります。どれくらい減額されるか具体的な金額を過去の事例を見てみましょう。

借入先 A社A社(元金120万円 年利15%)
B社B社(元金50万円 年利18%)
将来利息 512,867円(60回で返済した場合) 261,803円(60回で返済した場合)

※170万円の借金の任意整理することで将来利息774,670円のカットがされ、月々の返済額は50,000円→29,000円に減額されます。

任意整理後の支払いはいつから始まる?

任意整理の手続きが完了するまでには3〜6ヶ月ほどかかるので、返済が再開するのもこの頃が目安となります。

任意整理は債権者のペースで進められる部分が大きいため、和解成立までに時間がかかることもあります。手続き中は返済がストップするとはいえ、いつから返済が再開するか不安を感じることもあるでしょう。

進捗は都度弁護士・司法書士から報告がありますので、まずは進展の連絡が入るのをお待ちください。

任意整理後ブラックリストに掲載される期間はどれくらい?

任意整理で和解が成立すると、その情報が約5年にわたりブラックリストに掲載されます。

債務整理をしたという事実は「事故情報」として取り扱われ、次の3つの信用情報機関に登録されます。

加盟する金融機関や貸金業者は信用情報機関によって異なりますが、登録された事故情報はすべての信用情報機関で共有されます

任意整理で信用情報に傷がつく?あなたが覚えておくべき8つの事

任意整理にかかる期間は債権者によって異なる|計画的な返済で借金問題を解決しましょう

任意整理の手続きには3〜6ヶ月ほどかかり、3〜5年かけて完済を目指すのが一般的です。

和解までの期間は債権者によって異なるため、いつから返済がはじまるか心配される方もいるでしょう。当事務所では手続き完了までご依頼者様が安心して過ごせるよう、和解までの流れをわかりやすくご説明しています。

お電話かメールをいただければ任意整理後の返済予想額もご案内できますので、借金でお困りの方はお気軽にご相談ください。

田中 聖晃

顧客第一主義を掲げ、プロ意識を持ってご依頼者の方一人一人が抱えるお悩みをしっかりお聞きし、「安心、丁寧、迅速」をモットーに法律専門家として司法書士、スタッフ一丸となり最善の方法をご提案し徹底的なサポートを提供いたします。

関連記事

PAGE TOP