借金問題を解決する方法の一つに「時効援用」があります。
時効援用とは借金の時効を成立させ、返済義務をなくす手段の一つです。債権者に対して時効援用通知書を送付することで、借金を帳消しにすることができます。
時効援用を行うには弁護士や司法書士など法律の専門家に代行してもらうのが一般的ですが、やり方がわかれば自分で手続きすることも可能です。
専門家に依頼する場合の費用は1社あたり20,000〜80,000円が相場で、自分でやるとそれよりも安く手続きできます。
本記事では、時効援用にかかる費用とその内訳をわかりやすくまとめました。安く抑える方法や自分で手続きする方法も解説しているので、時効援用を検討中の方はぜひお読みください。
目次
時効援用にかかる費用は「20,000〜80,000円」が相場
時効援用を専門家に代行してもらう場合、かかる費用は20,000〜80,000円が相場です。
時効援用に対応できる専門家は弁護士・司法書士・行政書士で、どの事務所に依頼するかで金額は異なります。また、裁判対応が必要となる場合は依頼料が高くなる傾向にあります。
対して、自分で手続きする場合には専門家への依頼料がかからないため、1社あたり数千円で手続きすることが可能です。
時効援用にかかる費用の内訳
時効援用にかかる費用の内訳は大きく3つに分けられます。
- 情報開示請求にかかる費用
- 必要書類の送付にかかる費用
- 専門家への依頼にかかる費用
ここからはそれぞれの内訳について詳しく解説していきます。
内訳1.情報開示請求にかかる費用
時効援用を行うにあたって、まずは信用情報機関への情報開示請求が必要です。
情報開示とは、クレジットカードや各種ローンなどの契約内容・利用状況を確認できる制度のことです。どの会社にいつ、どのような申し込みをしたのか、また返済した金額や残高なども確認できます。
情報開示請求にかかる費用は請求先や請求方法によって異なり、500〜1,500円が相場です。(インターネットまたは郵送での請求が選択できます)
開示請求はCIC・JICC・KSCと3つある信用情報機関に対して行います。情報が登録される信用情報機関は加盟店によって異なるので、以下の表を参考にしてください。
信用情報機関 | 加盟店 | 手数料(税込) |
CIC(株式会社シー・アイ・シー) | 信販会社(クレジットカード会社)・リース会社・消費者金融会社・携帯電話会社など | インターネット:500円
郵送:1,500円 |
JICC(株式会社日本信用情報機構) | 消費者金融や信販会社、商工ローン業者など | インターネット:1,000円
郵送:1,000円 ※郵送オプションを利用する場合は別途手数料が発生 |
KSC(全国銀行個人信用情報センター) | 銀行・信用金庫・信用組合・信用保証協会など | インターネット:1,000円
郵送:1,124~1,200円 |
参考
CIC「情報開示とは」
株式会社日本信用情報機構「開示を申し込む」
一般社団法人全国銀行協会「本人開示の手続き」
内訳2.必要書類の送付にかかる費用
時効援用を行う際、必要書類は内容証明郵便で送付しなければなりません。
内容証明郵便は、いつ・誰が・どこに・どのような内容の書類を送付したかを郵便局が証明してくれるものです。内容証明郵便を使用するのは後のトラブルを防ぐことが大きな目的です。
内容証明郵便の送付にかかる費用は、郵便物の料金に一般書留と内容証明、配達証明の料金が加算されます。2024年1月現在の金額で計算すると、1通あたり1,279円かかります。
内訳 | 金額 |
定形郵便物(25gまで) | 84円 |
一般書留の加算料金 | 435円 |
内容証明の加算料金 | 440円 |
配達証明の加算料金 | 320円 |
参考
郵便局「内容証明」
内訳3.専門家への依頼にかかる費用
時効援用は弁護士や司法書士など、法律の専門家に依頼して手続きを進めるのが一般的です。
依頼料の相場は、1社あたり20,000〜70,000円と言われています。ここに実費として情報開示請求と内容証明郵便にかかる費用が加わります。
時効援用の場合、相談先の選択肢は弁護士・司法書士・行政書士の3つです。それぞれ対応できる範囲が異なることから、相場にも大きな開きがあります。
専門家 | 相場 | 依頼できること |
弁護士 | 50,000円〜 |
|
司法書士 | 30,000〜50,000円 |
※元金が140万円以下の借金に限る |
行政書士 | 20,000〜30,000円 |
|
弁護士と司法書士は、借入状況の確認から信用情報の開示請求、時効援用通知書の送付までを完結できます。
司法書士が取り扱えるのは訴額140万円までですが、弁護士に比べて依頼料を安く済ませられる点が大きなメリットです。
依頼料がもっとも安いのは行政書士ですが、行政書士ができるのは時効援用通知書の作成と送付までと対応範囲は限定的です。
補足として、訴額140万円というのは「元金が140万円以下」であることを意味します。(利息や延滞遅延金が加わって借金が140万円を超えても、元金が140万円以下であれば司法書士が対応できる可能性があります)
どこに頼むか迷う時は、借金の調査から債権者との交渉までを一貫して対応できる司法書士に相談するのがおすすめです。
大阪で時効援用をするなら「りらいふ法務事務所」までお問い合わせください。時効援用や債務整理についての無料相談はこちらから。
時効援用の費用を安く抑えるには?3つの方法
時効援用にかかる費用を安く抑えるには、次の3つの方法があります。
- 自分で手続きする
- 司法書士に依頼する
- 法テラスに相談する
ここからはそれぞれの方法を詳しく解説します。
方法1.自分で手続きする
時効援用にかかる費用を安く抑えるには、専門家に依頼せず自分で手続きする方法があります。
時効援用は、
- 借金の時効期間が経過していることを確認する
- 時効援用通知書を送付する
という手順で進めていきます。
時効期間が経過しているかどうかは、信用情報機関に対して開示請求することで確認できます。時効援用通知書はインターネットで探したテンプレートを活用し、必要事項をすべて記載すればOKです。
作成した時効援用通知書は、記録が残るよう内容証明郵便で送付します。
自分で手続きすれば専門家への依頼料はかかりません。依頼料の相場は20,000〜70,000円と言われているので、これを省くことができれば自己負担額は大幅に軽減できるでしょう。
一方で、自力で手続きする場合には大きなデメリットもあります。それが「時効援用に失敗するリスクがある」という点です。
大前提として、時効援用は借金の時効が経過していることが条件となります。タイミングを誤ると時効が認められないどころか、借金を全額、それも一括返済を求められる可能性もあるのです。
自分で手続きすれば費用を安く抑えられますが、その反面に失敗のリスクがあることを知っておく必要があるでしょう。
方法2.司法書士に依頼する
時効援用にかかる費用を少しでも安く抑えるには、司法書士に依頼するのも一つの方法です。
時効援用の相談先は、弁護士・司法書士・行政書士の3つが選択肢となります。弁護士と司法書士はどちらも借金の調査から債権者との交渉まで幅広く対応できるのが特徴です。(行政書士は書類作成と送付まで)
両者を比較すると、依頼料は司法書士の方が安い傾向にあります。司法書士には訴額140万円という制限がありますが、これは「1社あたりの金額(元金)が140万円以下」であることを意味します。
つまり、A社30万円・B社100万円・C社50万円と合計180万円の借金があっても、1社あたりの金額が140万円を超えていないため司法書士に依頼できるというわけです。
時効援用の成功率を高めつつ、費用も安く抑えたい方は司法書士に相談することを検討してみてください。
方法3.法テラスに相談する
法テラス(日本司法支援センター)とは、借金や離婚、犯罪の被害といった問題を解決する目的で国が設立した法律の総合案内所です。
誰に相談すればいいかわからない、経済的理由で専門家に相談できないといった方を対象に、法的トラブルの解決に必要な情報やサービスを提供しています。
法テラスでは、経済的に余裕がない方向けの無料相談を実施しています。利用には一定の条件がありますが、必要に応じて着手金や実費の立て替え相談も可能です。
費用を安くするというよりは一時的な負担を軽減する方法となりますが、無料相談が受けられる点は法テラスの大きなメリットと言えるでしょう。
法テラスは日本全国に地方事務所があります。また、法テラスの無料相談を利用できるかどうかの確認もできるので、詳しくは法テラスのホームページもチェックしてみてください。
参考
日本司法支援センター 法テラス「お近くの法テラス(地方事務所一覧)」
日本司法支援センター 法テラス「要件体験ページ」
時効援用の費用は分割で支払える?
時効援用にかかる費用(専門家への依頼料)は、分割で支払えるケースがほとんどです。
借金問題に対応する事務所は、お客様の経済的事情に理解があります。現在の状況を改善したい思いで行動していると思いますので、分割払いに対応してくれるケースは多いでしょう。
もっとも、分割払いが可能かどうかは各事務所によって異なるため、詳しくは相談を検討している事務所に確認をしてください。
りらいふ法務事務所の報酬はすべて分割でのお支払いいただけます。相談は何度でも無料で、法テラス利用の対応も可能ですので、お困りの方はお気軽にお問い合わせください。
もう一つ、時効援用が不成立となった場合について説明すると、借金の残高は原則として一括返済が求められます。
債権者の中には分割払いが可能な会社もありますが、分割での返済に応じるかどうかは交渉次第となります。
仮に自分で手続きしたとして、債権者との交渉で有利な立場を作るのは難しいでしょう。交渉には専門知識と経験が必要であることも考え、時効援用はプロに相談するのがおすすめです。
時効援用の成功率は?失敗するとどうなる?
時効援用を成功させるには、次のポイントをしっかりと確認することが大切です。
- 時効期間が経過している
- 裁判を起こされていない
- 債務を承認していない
上記3つをクリアしていれば、時効援用はほぼ確実に成功します。反対に、どれか一つでも確認できなければ失敗のリスクがあると言い換えられます。
時効援用に失敗すれば、借金を帳消しにするどころか残債を全額一括で返済しなければなりません。
返済が困難であれば任意整理に移行することもできますが、この場合も減額した借金を返済し続ける必要があります。
時効援用の費用でお悩みの方はりらいふ法務事務所までご相談ください
時効援用を専門家に依頼すると、1社あたり20,000〜80,000円の費用がかかります。
依頼先の選択肢は弁護士・司法書士・行政書士と3つありますが、相場と対応範囲はそれぞれ異なります。少しでも安く、そして成功率を高めるには司法書士に相談するのがおすすめです。
当事務所は借金問題に強い大阪の法務事務所で、これまでに数々のお悩みを解決してきました。時効援用を検討中の方はお気軽にお問い合わせください。
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