自己破産を検討中の方は、具体的な手続き方法や所要期間、費用などをお調べのことと思います。
基本的な手続きは専門家が行いますが、ご自信でも流れを把握しておくとよりスムーズに手続きが進められます。
「自己破産はどんな流れで進めるの?」
「完了までの期間や費用、必要書類が知りたい」
このような疑問を解消するため、この記事では自己破産の流れを詳しく解説していきます。弁護士・司法書士費用や自己破産中の生活についてもご説明するので、借金でお悩みの方はぜひ参考にしてください。
目次
自己破産とは|借金の返済を免除してもらう手続きのこと
何らかの事情により借金の返済が困難になった時、裁判所に申し立てることですべての債務を免除できるのが自己破産です。
自己破産が成立すると、原則として借金の返済義務がなくなります。(税金や養育費を除く)これまで返済にあてていたお金は生活費として使えますし、督促や取り立てもすべてストップします。
自己破産=すべての財産が奪われるとお考えの方がいますが、基本的な生活は今までとほぼ変わりません。家具家電など最低限の財産は残せますし、ごく一部の職業を除いてこれまで通りお仕事を続けることも可能です。
これまでの生活と少し違うのは、弁護士・司法書士と打ち合わせしたり、裁判所へ行く機会がある点です。専門家が都度フォローしますが、ご自身でも手続きの流れを事前に確認しておくと不安や緊張をある程度軽減できるでしょう。
自己破産は3つの種類がある
自己破産は大きく分けると3つの種類があり、どの手段をとるかは資産額や借金の理由によって異なります。
- 同時廃止
- 通常管財
- 少額管財
手続き完了までの期間も種類によって変わります。ここからは、それぞれの特徴とおおよその所要期間をより詳しく見ていきましょう。
種類①同時廃止
手続き完了までにかかる期間:3〜4ヶ月
自己破産を申し立てた時点で、処分する財産がない場合に行われるのが同時廃止です。
自己破産では、債務者が所有する財産を売却して得たお金を債権者へ配当し、返済にあてることが予定されています。しかし、債務者に財産がなければ配当すべきお金はうまれません。
この場合、破産手続きは開始と同時に終了となります。処分する財産がない=破産手続きに必要な費用も支払えないので、その時点で手続きを終わらせるよう法律で定められているのです。
裁判所は、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるときは、破産手続開始の決定と同時に、破産手続廃止の決定をしなければならない。(破産法第216条)
種類②通常管財
手続き完了までにかかる期間:6ヶ月〜1年
通常管財(管財事件)は、財産が多く売却に時間がかかる場合に行われる手続きです。
通常管財では、裁判所が選任した破産管財人が財産の調査や管理、処分を行います。よって同時廃止よりも時間がかかり、裁判所または破産管財人へ対する報酬(予納金)の支払いも発生します。
加えて、通常管財は破産者と破産管財人、そして弁護士・司法書士での3者面談が必要です。その後、破産管財人が債権者に対して配当の説明をする債権者集会が行われます。
通常管財として取り扱われる例としては、
- 現金以外で20万円以上の財産がある
- 法人の代表者や個人事業主である
- ギャンブルで浪費をした
などがあります。
種類③少額管財
手続き完了までにかかる期間:3〜6ヶ月
少額管財は、通常管財に比べて予納金を少額化できるのが大きな特徴です。
費用負担を減らせるほか、手続きも簡略化できるので、自己破産が完了するまでの期間も大幅に短くなります。少額管財は一部の裁判所のみで行われている方法なので、手続きできるかどうかは専門家への相談・確認が必要です。
自己破産の流れと期間
続いて、自己破産がどのような流れで進められるかをご紹介します。
大まかな流れは以下の通りです。
- 専門家へ相談する
- 受任通知を送付する
- 必要書類を作成する
- 破産手続きの開始が決定する
- 財産が処分される※管財事件・少額管財の場合
- 免責が確定する
ここからは各ステップごとの詳細を解説していきます。
Step1.専門家へ相談する
自己破産をする際はまず、その道のプロである弁護士や司法書士を探しましょう。
よき相談相手を見つけるには、「債務整理が得意かどうか」をチェックすることが大切です。
というのも、ひと口に弁護士・司法書士といっても、人によって得意分野は大きく異なります。専門外であっても手続きはできますが、自己破産の経験が少ないと相談の時点で断られることがあります。
債務整理の実績が豊富な専門家であれば、一人ひとりの相談者に合ったベストな解決策を提案してくれるでしょう。実績はホームページでチェックできます。
Step2.受任通知を送付する
依頼する専門家が決まったら、弁護士・司法書士は債権者に対して受任通知を送付します。
受任通知とは? 債務者に代わり、弁護士や司法書士が債務整理の手続きを進める旨を債権者に知らせるための通知 |
受任通知には法的効力があるので、受け取った債権者はそれ以上督促や取り立てができなくなります。
受任通知は専門家への依頼後、1〜2日営業日のうちに送付されるのが一般的です。
Step3.必要書類を作成する
続いて、裁判所へ提出する書類を作成します。
自己破産に必要な書類は種類が多いので、この工程は2〜3ヶ月ほどかかります。書類の準備は専門家が行いますが、スムーズに手続きを進めるためにも指示された書類はできるだけ早く用意しましょう。
具体的な必要書類は以下の通りです。
- 自己破産申立書
- 陳述書または報告書
- 住民票
- 給与明細書(収入がわかるもの)
- 預金通帳
- 源泉徴収票
- 居住地が分かるもの
- 資産が分かるものなど
このほか、状況によって戸籍謄本や生活保護受給証明書などが必要となる場合があります。
Step4.破産手続きの開始が決定する
必要書類を準備し、裁判所へ破産申し立てをすると、次は裁判官との面接(審問)が行われます。
面接では自己破産に至った経緯や借金の額などを聞かれます。時間は20〜30分程度で終わりますが、お仕事がある場合はあらかじめ休暇や早退などの調整が必要です。
とくに問題がなければ、いよいよ破産手続きがはじまります。通常管財または少額管財の場合、予納金はこのタイミングで支払います。
Step5.財産が処分される※管財事件・少額管財の場合
債務者に一定の財産がある場合、破産管財人が財産の調査と処分を行います。
破産管財人と申立代理人(弁護士や司法書士)、破産者の3者で面談をします。虚偽の申告をすると自己破産できなくなる可能性があるので、当然ですが質問には正直に回答してください。
財産処分にかかる期間は、通常管財で3〜6ヶ月ほど、少額管財では2〜3ヶ月ほどです。
Step6.免責が確定する
財産を売却し、債権者への配当が終わったら、申立代理人とともに裁判所へ出頭し再度面接を行います。(免責審尋)
通常、免責審尋からおよそ2週間ほどで免責許可が決定します。免責が確定すれば、晴れて自己破産の手続きはすべて完了です。
自己破産にかかる費用
自己破産にかかる費用相場は次の通りです。
弁護士・司法書士費用 | 裁判所費用 | |
同時廃止 | 20〜30万円 | 約1.5万円 |
通常管財 | 50〜80万円 | 約1.5万円+予納金50万円〜 |
少額管財 | 30〜50万円 | 約1.5万円+予納金20万円〜 |
弁護士・司法書士費用の内訳としては、
- 相談料
- 着手金
- 報酬金
などがあります。
相談料は自己破産の相談をした時点で発生するものですが、近年は相談料無料の事務所が増えつつあります。着手金は、自己破産を依頼することが決定した時点で払うお金です。通常、受任通知を送付したあたりで着手金を支払います。
当事務所では、着手金150,000円と成功報酬100,000円(どちらも税別価格)で自己破産を行っております。ご相談はお電話(0120-316-790)、またはこちらの専用フォームからお問合せください。
自己破産の手続き中の生活
自己破産と聞いて、生活が大きく変化することを心配される相談者様は多いです。
手続きが完了するまでの間はとくに、無事終わるのかという不安がつきまといます。仮に免責が許可されたとしても、今後の生活がどうなるのかは誰しもが気になるところでしょう。
結論から言いますと、自己破産の手続き中は今まで通りの生活が可能です。完了後は当面新規の借入ができなくなりますが、それも一生続くわけではありません。
「会社をクビになる」「スマホが契約できない」「就職が不利になる」といった噂もあるようですが、これらはすべて誤解です。自己破産をしたとしても最低限の生活を営む権利は奪われませんので、どうかご安心ください。
破産申請中の生活で不便を感じることがあるとすれば、
- 日常生活に不要な高額な買い物はできない
- 一部職業は就業が制限される
- 郵便物は破産管財人へ転送される
この3つが挙げられます。
日常生活に不要な高額な買い物はできない
自己破産の手続き中であっても、日常生活に必要なものはこれまで通り購入できます。
しかし、ブランド品や生活必需品とは言えない家電といった高額な買い物は原則認められません。(高価なものを買う余裕がある=返済にあてられるとみなされるため)
また、浪費やギャンブルは免責不許可事由に該当するため、破産申請中の賭け事も控えた方がいいでしょう。もしギャンブルによって借金が増えてしまうと、免責決定の許可が出ない可能性があります。
一部職業は就業が制限される
自己破産をすると、一部の職業で就業が制限されます。
一例としては、
- 弁護士
- 司法書士
- 税理士
- 宅地建物取引士
- 旅行業務取扱管理者
- 貸金業者
- 保険外交員
- 建設業者
- 警備員
などがあります。
このうち士業については、自己破産の手続き後免責の許可が出るまでその仕事に従事することができません。これは士業に就く者の自己破産が欠格事由にあたるためです。
次に掲げる者は、第四条、第五条及び前条の規定にかかわらず、弁護士となる資格を有しない。四 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者(弁護士法第7条4号)
士業の職業制限は通常3〜6ヶ月で終了となり、復権すればこれまでと同じように働けます。制限されるのみで、資格がはく奪されることはありません。
士業以外では、個人情報や機密情報を取り扱う業種も職業制限の対象となります。もしご自身の仕事が制限の対象となるかを知りたい方は、一度専門家へ相談してみるのがいいでしょう。
郵便物は破産管財人へ転送される
破産管財人の職務で必要がある場合、破産者の郵便物は破産管財人に転送されることがあります。
これは、破産者の預金や保険金などの財産を調べることが目的です。郵便物の転送は自己破産が完了するまでの間のみで、免責決定後は転送なく受け取りが可能です。
また、転送される郵便物は破産者本人のもののみで、同居の家族宛てのものは通常通り届けられます。
自己破産はデメリットが多い?
自己破産をすると、当面は新規での借入やクレジットカードの申込ができなくなります。
これは、自己破産した事実が事故情報として信用情報機関に登録されるためです。(いわゆるブラックリスト入りの状態)ブラックリストが解除されるまでの期間は、自己破産だと5〜10年と言われています。
相談者様の中には、これをデメリットととらえる方がいます。しかし、借入やクレジットカードがなければ借金が増えることはありません。
借金がなければ督促や取り立てに悩まされることもないので、結果的にメリットがデメリットを上回るともいえるでしょう。
自己破産をする時は流れや手続き方法を事前に確認しておこう
自己破産を開始すると、手続き完了までに最短で数ヶ月、長ければ1年ほど時間がかかります。
基本は専門家が進めていきますが、相談者様には必要書類を準備していただく必要があります。また、求められれば裁判所での面談にも応じなければなりません。
自己破産の流れをあらかじめ把握しておくと、手続きがスムーズに進められます。弁護士や司法書士から指示があったら、できるだけ早く対応することが大切です。
当事務所ではこれまでに、自己破産をはじめとする数々の債務整理を担当してきました。相談者様にとって最善の方法で借金問題を解決しますので、お困りのことがあればお気軽にご相談ください。