自己破産後クレジットカードが取得できるようになるまでの期間

自己破産を検討中の方の中には、手続き後クレジットカードが再取得できるかどうかを心配される方が多いです。

大きな借金を抱えると、クレジットカードのない状態で生活や返済をうまくやりくりできるか不安を感じるものです。「再取得までどれくらい時間がかかるのか」「家族カードも使えなくなるのか」といった疑問もあるでしょう。

このようなお悩みを解消するため、この記事では自己破産後のクレジットカードの利用や再取得についてわかりやすく解説します。

自己破産後はクレジットカードが強制解約される

自己破産をすると、手持ちのクレジットカードはすべて強制解約となります。

自己破産を検討している方は、すでに借金を返済するのが困難な状況にあると言い換えられます。支払能力がない方に対し、カード会社は回収の見込みがない貸付を行わないのは当然といえば当然です。

強制解約は、カード会社が「受任通知(※)」を受け取った時点で手続きが進められます。公共料金や携帯料金をカード払いにしている方は、口座振替など別の支払方法へ早めの変更を行なってください。

また、クレジットカードに紐付けされたETCカードやクレジットカードに付随するポイントも失効となるのでご注意ください。

受任通知とは?
債務者本人に代わり、弁護士や司法書士が債務整理を進める旨を知らせるための通知です。貸金業法により、受任通知を受け取った債権者は一切の取り立てや督促を禁じられます。(第21条1項9号/取立て行為の規制)

クレジットカードの存在を隠すと免責不許可になることも

自己破産をすると、一度も利用したことのないものも含めすべてのクレジットカードが利用できなくなります。

カードが利用できなくなると聞いて今後の生活が不安になる方もいるでしょう。だからといって、弁護士や司法書士にカードの存在を隠すことはおやめください

カードの存在を隠し、自己破産後にカードを利用すること詐欺行為とみなされ、破産法第252条1項5号の免責不許可事由に該当する恐れがあります。借金を増やす行為とみなされると免責が認められない可能性があるので、所有しているカードは利用の有無を問わずすべてご申告ください。

自己破産後も家族カードは継続して利用できる

自己破産で利用できなくなるのは本人名義のクレジットカードのみです。

本会員の名義がご家族のカードであれば破産後も継続利用できますし、新たに家族カードを申し込むことも可能です。(例:夫が自己破産をした場合も、妻名義の家族カードは使い続けられる)

カードやローンに関する情報は個人単位で管理されるため、自己破産をしてもご家族の信用情報に影響を与えることはありません

ただし、借金の原因がクレジットカードだったのなら家族カードの利用は極力控えた方がいいでしょう。どうしても必要な時は、不要な買い物や使いすぎを防ぐために契約者本人が使用履歴をきちんと管理することが大切です。

自己破産後クレジットカードを再取得できるまでの期間

自己破産後クレジットカードを再取得できるまでには、5〜10年かかると言われています。

具体的な期間は、どの信用情報機関に事故情報が登録されるかによって異なります。信用情報が回復するまでの期間は以下を参考にしてください。

信用情報機関 おもな加盟会員 信用情報が回復するまでの期間
全国銀行個人信用情報センター(KSC) 銀行・信用金庫・信用組合・信用保証協会など 約10年
株式会社シー・アイ・シー(CIC) 信販会社(クレジットカード会社)・リース会社・消費者金融会社・携帯電話会社など 約7年
株式会社日本信用情報機構(JICC) 消費者金融や信販会社、商工ローン業者など 約5年

ブラックリストから消えると再取得が可能

ブラックリストから事故情報が消える(すなわち信用情報が回復する)と、クレジットカードに新規で申し込むことが可能です。

自己破産後のカード申し込みは、まずご自身の事故情報が消えているかを確認してから手続きを行なってください。自己破産後のカード発行は、キャッシング枠を0円にして1社のみ申し込むと審査に通りやすくなると言われています。

信用情報は自分で開示請求できる

信用情報機関に開示請求すると、個人の信用情報を確認することができます。

具体的な手続き方法は次の通りです。

受付方法 用意するもの 手数料
全国銀行個人信用情報センター(KSC) 郵送のみ 開示請求申込書・本人開示手続き利用券または1,000円分の定額小為替証書・本人確認書類 1,000円
株式会社シー・アイ・シー(CIC) ネット・郵送・窓口 ネットの場合:スマホまたはパソコン・電話番号

郵送の場合:開示申込書・本人確認書類・ゆうちょ銀行で発行の定額小為替証書

窓口の場合:本人確認書類

ネット・郵送の場合:1,000円

窓口の場合:500円

株式会社日本信用情報機構(JICC) ネット・郵送・窓口 ネットの場合:スマホまたはパソコン・電話番号

郵送の場合:開示申込書・本人確認書類・ゆうちょ銀行で発行の定額小為替証書

窓口の場合:本人確認書類

ネット・郵送の場合:1,000円

窓口の場合:500円

※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、JICCは窓口での受付を当面の間休止しています。

自己破産とクレジットカードにまつわるよくある質問

最後は自己破産とクレジットカードについて、お客様から多くいただくご質問にお答えしていきます。

Q.自己破産前と同じカード会社に申し込めますか?

信用情報が回復した後であれば、自己破産前と同じカード会社に申し込むことは可能です。

ただし、クレジットカードの審査難易度はカード会社が独自に定めるものなので、その基準をクリアしていないとみなされればカード発行できない可能性は十分にありえます。

Q.自己破産後10年経ちましたが審査に落ちました。

信用情報機関に事故情報が登録されるタイミングは、各期間によって異なります。

いつどのタイミングで信用情報が回復するのか、具体的な更新時期は明示されていません。5〜10年はあくまで目安であり、ブラックリストから消えるまでの期間も「きっかり10年」と決められているわけではないのです。

また、信用情報が回復した後であってもカードの多重申し込みは審査に通りにくい傾向にあります。(いわゆる「申し込みブラック」の状態)

自己破産を経てクレジットカードに申し込む時は、まず信用情報の開示請求からはじめてください。問題ないことが確認できたあとは、ひとまず1社のみ申し込みましょう。

Q.自己破産後5年以内でもクレジットカードを作れることがあるって本当ですか?

基本的に自己破産後5年以内は、クレジットカードの新規発行はできないとご理解ください。

自己破産の体験談を見ると、ごく一部で5年以内でもカードが作れたという投稿を目にすることがあります。カード発行の有無を判断するのはカード会社なので、自社の審査基準をクリアしていると判断されれば5年以内でもカード発行できる可能性はあるでしょう。

ただし、自己破産後5年以内で審査を通過できるのは極めてまれなケースです。軽い気持ちで試しても審査に落ちる可能性は高いので、まずは5年待つことをおすすめします。

Q.自己破産後クレジットカードで買ったものは手元に残せますか?

品物の価値によります

ローンが残っている商品の場合、その所有権はカード会社に留保されるのが一般的です。残高を支払えないとなると、カード会社は残高を少しでも回収しようと商品を引き上げることになるでしょう。

価値がなくなっていると判断されれば、ローンが残っていても手放さずに済むこともあります。

まとめ

自己破産をする上でネックになることの一つに、クレジットカードの強制解約があります。

支払不能な状態になれば、カードが利用できなくなるのは当然のことです。しかし、カードを作れないのは事故情報が登録されている間のみで、今後一生カードを作れないわけではないのでご安心ください。

返済できないほどの借金を抱えてしまった場合は、一人で悩まず専門家に相談することをおすすめします。「自己破産を考えている」「リボ払いの結果多額の借金を作ってしまった」このようなお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度当事務所までご相談ください。

借金問題のプロがご相談者様にとってベストな方法をご提案させていただきます。

田中 聖晃

顧客第一主義を掲げ、プロ意識を持ってご依頼者の方一人一人が抱えるお悩みをしっかりお聞きし、「安心、丁寧、迅速」をモットーに法律専門家として司法書士、スタッフ一丸となり最善の方法をご提案し徹底的なサポートを提供いたします。

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