任意整理を検討するにあたって、司法書士と弁護士のどちらに依頼すべきか迷う方は多いことと思います。
結論から言いますと、借金問題に強く親身になって話を聞いてくれる専門家であればどちらに相談しても構いません。ただし、借金の額によって司法書士に依頼できないケースがあることは知っておく必要があるでしょう。
また、お客様からは「任意整理は司法書士の方が安いのか」といったご質問も多く寄せられます。そこでこの記事では、司法書士が対応する任意整理(借金の上限額や報酬の相場など)についてわかりやすくまとめました。
目次
任意整理は司法書士と弁護士どちらに依頼すべき?
任意整理を誰に依頼するかは、実績と相談のしやすさを基準に選ぶことをおすすめします。
司法書士と弁護士どちらに依頼しても、基本的な業務内容や流れはほぼ同じです。両者を比較するというよりは、ご自身にとってもっとも相談しやすい相手を選ぶのがいいでしょう。
実際に問い合わせてみると、相手の対応やフィーリングがわかるはずです。あとは着手金や成功報酬、費用の支払い方法などから総合的に判断してみてください。
参考までに、司法書士と弁護士それぞれのメリットも簡単にまとめました。
司法書士に依頼するメリット
任意整理にかかる費用は、司法書士に依頼する方が安く済む場合があります。
その理由として考えられるのが、2003年に行われた司法書士法の改正です。債務整理はもともと弁護士だけが行える仕事だったのですが、法律が変わり司法書士も代理人として債務整理が行えるようになりました。
司法書士が活躍できるシーンが増えたこと。また弁護士と差別化する目的から、任意整理にかかる費用を安く設定したのがはじまりと考えられます。
といっても弁護士と比べて格別に安いわけではなく、相場で見た時に少し安いという程度です。専門家探しの際は、司法書士と弁護士でどれくらいの差があるか比較してみるといいかもしれません。
弁護士に依頼するメリット
任意整理を弁護士に依頼する最大のメリットは、借金の額を問わず手続きしてもらえる点です。
後ほど詳しく説明しますが、1社あたりの借金が140万円以上ある場合、司法書士は任意整理の手続きを進めることができません。140万円は司法書士法で定められる額で、これを超えると司法書士は債権者との交渉や訴訟などの対応ができないのです。
借金の額が大きい方や交渉が難航するようなケースだと、弁護士の方がスムーズに手続きを進められる可能性が高くなります。
任意整理を司法書士に依頼できないケース
任意整理を司法書士に依頼できないケースは大きく3つあります。
- 1社あたりの債務が140万円以上となる場合
- 1社あたりの過払金が140万円以上となる場合
- 簡易裁判所以外での手続きが必要な場合
ここからはそれぞれの内容を詳しく解説していきます。
ケース1.1社あたりの債務が140万円以上となる場合
1社あたりの債務が140万円を超える場合、司法書士は任意整理を代理できません。(違反すると刑事処罰の対象となります)
「1社あたり」というのがわかりにくいかと思いますので、例をあげて説明します。
A社(自動車ローン/300万円)・B社(カードローン/100万円)・C社(消費者金融/50万円)の3社から計450万円の借入があったとしましょう。
上記のうち、A社は債務が140万円以上であるため司法書士が任意整理を進めることはできません。
B社・C社の債務は150万円を超えますが、140万円はあくまで「1社あたり」の債務額なので、B社・C社の任意整理はまとめて司法書士に依頼できます。(もちろんB社・C社どちらか一方を依頼することも可能です)
ケース2.1社あたりの過払金が140万円以上となる場合
1社あたりの債務が140万円未満であっても、多額の過払い金が発生するケースでは司法書士が任意整理を代理することはできません。
過払金とは、借金を返済し終えたにも関わらず支払いすぎていたお金のことです。貸金業者から20%以上の金利で借入した経験があり、カードローンやキャッシングなどの取引が長期に及ぶ場合に発生することが多いです。
補足ですが、過払金請求をすれば払い過ぎたお金が戻ってくる可能性があります。過払金請求は任意整理とはまた別の手続きとなるため、詳しくは専門家に相談することをおすすめします。
過払金請求の無料相談はこちら
ケース3.簡易裁判所以外での手続きが必要な場合
司法書士が認められているのは、簡易裁判所で取り扱う民事事件の代理業務です。(これを簡裁訴訟代理等関係業務といいます)
交渉が難航し、簡易裁判所から地方裁判所に移送されるような事件は弁護士でなければ手続きは行えません。
司法書士と弁護士の違い
司法書士と弁護士はどちらも法律に関する業務を行う専門職ですが、対応範囲が大きく異なります。
ここからは両者の違いをより詳しく解説していきます。
司法書士とは
司法書士は、裁判所に提出する書類の作成や登記・供託の手続きなどを中心に行います。
不動産の売買や所有権の移転、会社の設立など登記が必要なシーンで活躍することが多いです。また裁判所や検察庁に提出する書類を作成し、依頼人がスムーズに目的を果たせるようサポートするのも司法書士の主な役割です。
司法書士法の改正後は、債務整理を代理する司法書士も増えました。弁護士に比べると業務範囲は限定的ですが、法律事務の専門家であることに変わりはありません。
なお特別な研修や試験を受けて、法務大臣から認定された者は「認定司法書士」として簡裁訴訟代理等関係業務も行えます。
以下は簡裁訴訟代理等関係業務をまとめたものです。
- 民事訴訟の手続き
- 訴え提起前の和解(即決和解)の手続き
- 支払督促の手続き
- 証拠保全の手続き
- 民事保全の手続き
- 民事調停の手続き
- 少額訴訟債権執行の手続き
- 裁判外の和解の各手続きを代理する業務
- 仲裁の手続き
- 筆界特定の手続きを代理をする業務
弁護士とは
弁護士は、日々起こる事件や紛争を解決に導く法律の専門家です。
(弁護士の使命)
第一条 弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。。
引用元:弁護士法第1条
当事者の代理人または補助者として、社会生活におけるさまざまなトラブルに対応します。法廷に立つ姿が強く印象に残りますが、裁判以外では交渉や法律相談、事務仕事など業務内容は実にさまざまです。
借金問題については対応できる債務額の上限などはありません。
任意整理の費用は司法書士と弁護士でどれくらい差がある?
任意整理にかかる費用は、司法書士の方がわずかに安い印象です。
ただし、同じ司法書士でも事務所によって費用の決め方は大きく異なります。着手金(一律)と実費のみで対応するところもあれば、減額報酬金や解決報酬金が発生する事務所もあります。
借金減額のためとは言え、専門家に支払うお金は決して安いものではありません。借金の悩み解消に向けて大切なお金を支払うわけですから、費用を一つの基準としつつ最善の解決策を提案してくれる専門家を見つけたいものです。
任意整理はりらいふ法務事務所までご相談ください
任意整理で和解が成立すると、裁判所を介さずに借金を減額できます。
弁護士はもちろん、司法書士も手続きを代理できるため、どちらに相談すべきか迷う方は多いでしょう。できるだけ早く、そして満足のいく解決策を望むのであれば、対応が親身で実績のある専門家を探すのが一番です。
当事務所はこれまでに、大阪エリアで数々の借金問題を解決へと導いてまいりました。他でお断りされた案件も、粘り強い交渉で和解成立となった例もあります。
一人ひとりの状況に合わせて最善の方法をご提案しますので、借金でお悩みの方はお気軽に当事務所までご相談ください。