自己破産すると会社にバレる?経営者や役員が自己破産するとどうなる?

借金の返済が難しくなったとき、選択肢となるのが自己破産です。

自己破産には借金を帳消しにするメリットがありますが、「会社に知られてしまうのでは?」「クビになるのでは?」と不安に感じる方も多いでしょう。経営者や役員の方は特に、会社経営への影響も気になるかと思います。

結論からいうと、自己破産をしただけで勤務先に自動的に通知されることは原則ありません。ただし、状況によっては会社に知られるケースもあります。

本記事では、自己破産が会社にバレるケースやについてわかりやすく解説します。給料や退職金への影響、経営者や役員が自己破産した場合の扱いについてもまとめているので、自己破産を検討している方はぜひ参考にしてください。

原則として自己破産で会社に通知がいくことはない

自己破産は、裁判所を通じて行う個人の債務整理です。手続きの過程で勤務先へ通知がいくことはなく、通常は会社に知られてしまうリスクはほとんどありません。

一般的な会社員であれば、自己破産をしたことだけを理由に職場へ情報共有されるケースはほとんどないとされています。戸籍や住民票に自己破産の事実が記載されることもないため、その点は安心してください。

ただし、会社に知られる可能性はゼロではありません。いくつかの条件下では、自己破産をしたことが会社や知人に知られてしまうケースがあります。

自己破産が会社にバレるケース

自己破産をしたことが会社に知られてしまうケースには次のものがあります。

  1. 給与が差し押さえられた
  2. 会社から借金をしている
  3. 知人やSNSを通じて知られてしまう
  4. 官報を見た
  5. 資格を制限された

ここからはそれぞれのケースを詳しく解説します。

給与が差し押さえられた

借金を長期間滞納し、債権者から訴訟を起こされた場合、給与差し押さえが行われることがあります。

給与差し押さえは勤務先を通じて行われるため、会社に借金問題を知られる可能性が高いです。

もっとも、自己破産の申立てを行うと、差し押さえの停止や中止が認められるケースもあります。給与差し押さえに発展する前に弁護士へ相談することで、会社に知られずに手続きを進められる可能性があります。

会社から借金をしている

勤務先から社内貸付制度などを利用して借入れをしている場合、会社自体が債権者になります。

自己破産ではすべての債権者を裁判所へ申告する必要があるため、勤務先から借金をしている場合は会社に自己破産が知られることになります。

また、会社が保証人になっているケースでも通知が届くため、秘密にすることは難しいでしょう。

知人やSNSを通じて知られてしまう

自己破産そのものは公的手続きですが、周囲に話してしまった内容が広がるケースもあります。

近年ではSNSで借金問題や生活状況を発信する方も増えていますが、何気ない投稿から自己破産を知られてしまうことも多いようです。特に、同僚や取引先とSNSでつながっている場合は注意が必要です。

官報を見た

自己破産をすると、官報に氏名や住所などが掲載されます。自己破産では、破産手続開始決定時と免責許可決定時の計2回掲載されるのが一般的です。

一般の方が官報を日常的に確認するケースは少ないため、官報だけを理由に会社へ知られる可能性はそれほと高くありません。ただし、金融機関や士業など、一部の業種では官報確認を行っている場合があります。

仕事上、官報に目を通すことの多い人が知人にいたとすれば、そこから自己破産したことを知ってしまう可能性があるでしょう。

資格を制限された

自己破産をすると、一部の職業や資格に制限(資格制限)がかかります。以下の職業その代表例です。

  • 弁護士
  • 司法書士
  • 税理士
  • 宅地建物取引士
  • 警備員
  • 保険外交員など

資格制限は、破産手続開始決定から免責許可決定の確定までの間、一時的に就業制限を受けます。これらの職業に就いている方は資格制限を勤務先へ報告しなければならず、自己破産したことを知られてしまう可能性があります。

自己破産すると会社をクビになる?

頭を抱える男性

日本では、客観的合理性や社会通念上の相当性がない解雇は認められにくい傾向があります。それゆえ、自己破産をしたことだけを理由に解雇されることはほとんどないとされています。

特に、一般的な会社員の場合、自己破産後もそのまま勤務を継続しているケースは珍しくありません。一方で、注意したいのが資格制限がある職業です。

弁護士や司法書士、税理士などの士業は他人の金銭や財産を管理する立場であり、業務上高い倫理観と信用が求められます。警備員や保険外交員も信用や責任が求められる職業であるため、横領や不適切な取引を防ぐ目的で就業を制限される可能性があります。

また、会社からの借入れがある場合や、経理担当など金銭管理業務との関係で配置転換が行われるケースもあります。

資格制限がある職業以外で、自己破産を理由に退職を強要された場合は、弁護士や労働局への相談も検討しましょう。

自己破産すると給料や退職金はどうなる?

自己破産を検討するうえで、心配なのが今後の生活です。持ち家や車などの財産やを失ったり、給料や退職金を受け取れないリスクについて考える方もいるでしょう。

自己破産は借金の支払い義務を免除してもらう制度ですが、生活再建を前提としていることから、今後の収入まで全面的に奪われるわけではありません。一方で、高額な財産や退職金については一定の扱いが定められています。

自己破産後も給料は受け取れる

自己破産をしても、会社から支払われる給料そのものがなくなるわけではありません。破産手続開始後に得た給与は「新得財産」と呼ばれ、原則として本人が自由に生活費として使うことができます。

そのため、自己破産後も働き続けながら家賃や食費などを支払い、生活を立て直していくことが可能です。むしろ、安定した収入があることは、その後の生活再建において大きな支えになります。

ただし、自己破産の申立て前に給与差し押さえを受けている場合は注意が必要です。差し押さえが継続すると手取りが減少する可能性がありますが、自己破産の申立てによって停止や中止が認められるケースもあります。

一定以上の財産は処分対象になる

自己破産では、債権者間の公平を図るため、一定以上の価値がある財産は処分対象となる可能性があります。

例えば、不動産や高額な預貯金、高級車、解約返戻金の大きい生命保険などは、換価して債権者への配当に充てられることがあります。特に持ち家については、住宅ローンの有無にかかわらず処分対象になるケースが多いです。

一方で、生活に必要な最低限の財産まですべて失うわけではありません。衣類や家具、一定額以下の現金などは「自由財産」として手元に残せる場合があります。

また、裁判所によって運用が異なる部分もあるため、どこまでが処分対象になるかは事前に弁護士へ確認することが大切です。

退職金は一部が財産として扱われることがある

退職金については、すでに受け取っているか、今後受け取る予定かによって扱いが異なります。

すでに受給済みの退職金が口座に残っている場合は、預貯金として財産評価の対象になる可能性があります。また、在職中であっても、将来支給される見込みの退職金について一定割合が財産とみなされるケースがあります。

一般的には、「現時点で自己都合退職した場合に受け取れる退職金見込額」の一部が自己破産における財産として評価されることが多いです。ただし、退職時期が近い場合や金額が大きい場合は、処分対象として扱われる割合が高くなるケースもあります。

もっとも、退職金が全額没収されるわけではありません。裁判所の運用や個別事情によって判断が異なるため、自己判断せず専門家へ相談することが重要です。

経営者・社長が自己破産するとどうなる?

ネクタイを締める男性

会社経営者や社長が自己破産をする場合、一般的な会社員の自己破産とは異なる問題が生じることがあります。特に、中小企業は会社の借入れに社長個人が連帯保証しているケースが多く、法人と個人の債務が密接に関係していることが少なくありません。

取引先や従業員への影響も大きいため、個人だけの問題では済まないケースもあります。

法人破産と個人の破産は別の手続き

法律上、会社と社長個人は別人格として扱われるため、社長個人が自己破産したからといって法人も自動的に破産することはありません。

会社の破産が社長個人の自己破産につながることもなく、法人破産と個人の破産は別のものと考えるのが一般的です。

しかし、中小企業では社長が会社の連帯保証人になっているケースが多く、実際には法人破産と個人破産を同時に行うケースが少なくありません。

また、法人名義と個人名義の借入れや資産が混在しているケースでは、手続きが複雑化することもあります。会社の経理状況や資金の流れによっては、裁判所や破産管財人から詳細な説明を求められる場合もあります。

社長が自己破産しても会社は存続させられる

会社に十分な資産や事業継続性がある場合、社長個人だけが自己破産し、会社自体は存続するケースもあります。例としては、社長個人の生活費や個人ローンが原因で自己破産した場合です。

もっとも、金融機関との関係や信用面への影響は避けられないため、実際には役員変更や経営体制の見直しが行われるケースもあります。

また、会社名義ではなく社長個人名義で契約している設備や不動産がある場合、事業継続へ影響が出る可能性もあります。

取引先によっては「代表者個人の破産」を理由に契約継続を慎重に判断するケースもるため、会社を存続させる場合でも資金繰りや信用回復に向けた対応が重要です。

法人破産と同時に進めるケースについて

中小企業では、会社の借入れに社長が連帯保証していることが多く、会社が返済不能になると社長個人も多額の債務を負うことになります。

こういったケースでは、法人破産と個人の自己破産を同時に進めるのが一般的です。具体的には、以下のケースで同時申立てが検討されます。

  • 社長が会社債務の連帯保証人になっている
  • 会社の資金繰りが完全に行き詰まっている
  • 会社資産だけでは債務を返済できない
  • 税金や社会保険料の滞納があるなど

法人と個人を同時に整理することで、債務関係を一括で整理しやすくなるメリットがあります。一方で、従業員への説明や取引先対応、事業停止のタイミングなど慎重な判断が必要になるため、専門家のサポートを受けながら進めることが大切です。

法人破産は従業員や取引先への影響も大きいため、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。

自己破産にまつわる質問

人差し指を立てて説明する男性

自己破産についてお客様から多く寄せられる質問をまとめました。

Q.会社が自己破産したらどうなる?

会社が破産すると、原則として事業継続は難しくなります。

裁判所から破産管財人が選任され、会社財産の換価や債権者への配当手続きが進められます。従業員は解雇となりますが、未払い賃金については「未払賃金立替払制度」を利用できる可能性があります。

なお、会社が破産しても従業員個人の借金まで影響を受けるわけではありません。

Q.自己破産すると役員になれない?

自己破産をしただけで永久に役員になれなくなるわけではありません。

現在の会社法では、自己破産のみがが会社役員の欠格事由には該当しないと考えるのが一般的です。ただし、定款や社内規定、金融機関との関係などから、実務上は役員辞任を求められるケースがあります。

また、資格制限のある業種では一時的に影響が出ることがあります。

Q.自己破産すると働けない職業は?

自己破産中に制限される職業には次のものがあります。

  • 士業(弁護士・司法書士・税理士など)
  • 警備員
  • 保険募集人
  • 宅建業関連
  • 一部の許認可事業など

これらの制限は永続的なものではなく、免責許可決定が確定すると復権し、再び従事できることがほとんどです。

まとめ

自己破産をしても、原則として勤務先へ自動的に通知されることはありません。「会社に知られたくない」と不安を感じる方もいますが、一般的な会社員であれば会社に知られずに手続きを進められるケースが多いです。

ただし、給与差し押さえや社内での借入れ、資格制限などによって会社に知られる可能性はゼロではありません。また、経営者や社長の場合は、法人との関係や連帯保証の有無によって影響が大きく変わります。

自己破産は生活再建のための制度です。不安や疑問がある場合は一人で抱え込まず、早めに弁護士へ相談することが重要です。

りらいふ法務事務所では、自己破産をはじめとする借金問題を専門に取り扱っております。お客様にとって最善の方法をご提案いたしますので、借金でお困りのことがあればお気軽にお問い合わせください。

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