「任意整理後はクレジットカードが使えなくなる?」
「新規申込をしても審査に通らないって本当?」
相談者様からのご質問の中でもとくに多いのが、任意整理とクレジットカードについての内容です。
利用停止や審査への影響を心配される方が多いため、本記事では任意整理後のクレジットカードの取り扱いについて解説します。
目次
任意整理後もクレジットカードは残せる?
結論からいいますと、任意整理をすると今お持ちのクレジットカードは強制解約となります。
理由は、任意整理をした事実が事故情報として取り扱われるからです。いわゆる「ブラックリスト入り」した状態となり、任意整理を申し入れた時点※で利用できなくなります。
クレジットカードの強制解約は、VISAやJCBといったブランドを問わず行われます。
※正確には、専門家(弁護士や司法書士)が送付した受任通知がカード会社に届いたタイミング
任意整理していないクレジットカードも使えなくなる
任意整理は手続きする債権者を選択できますが、任意整理しないカード会社も強制解約の対象となります。
たとえば、A社・B社・C社の3社のクレジットカードを所有していたとしましょう。この場合、任意整理するのがA社のみだとしても、B社・C社のクレジットカードも強制解約されてしまいます。
任意整理しない会社のクレジットカードが強制解約となる理由は、ブラックリスト入りした事実(事故情報)がすべてのカード会社で共有されるためです。
クレジットやローンに関する情報は「信用情報機関」と呼ばれる機関で管理されます。信用情報機関は①CIC②JICC③KSCの3つあり、各カード会社や金融機関によって加盟する機関も異なります。
契約中のカード会社がCICの加盟会員だったとして、対象のクレジットカードを任意整理すればJICCやKSCにもその情報が共有されるという意味です。
以上の理由から、任意整理後は所有しているすべてのクレジットカードが使えなくなると理解してください。
ETCカードやポイントなどの付帯サービスも利用不可となる
クレジットカードが強制解約となると、当然ですが付帯サービスもすべて利用できなくなります。
よくある付帯サービスの例には、
- ETCカード
- 各種ポイント
- 航空会社のマイレージ
- 電子マネー
- 家族カード
などがあります。
家族カードについては、任意整理するのが家族会員であれば主会員の契約に影響はありません。(例:主会員が夫で、家族会員の妻が任意整理しても夫が主会員のクレジットカードは引き続き使える)
クレジットカードを選ぶ際、付帯サービスで得られるメリットでカード会社を決める方は多いことと思います。
任意整理をする可能性があるならば、これまで貯めたポイントや特典がすべて失効することを覚えていてください。
携帯料金をクレジットカード払いにしている場合は要注意
公共料金や携帯電話の利用料金をクレジットカードで支払っている方は、任意整理をする前に支払い方法を変更する必要があります。
クレジットカードの強制解約は待ったなしです。カード会社が任意整理の受任通知を受け取ると、早ければその日中に利用停止となります。
毎月の引き落としに間に合わなければ、請求元から振込用紙が届きます。ブラックリスト入りしている上に支払いが遅れるとなれば、債権者によくない印象を与えるでしょう。
クレジットカードの強制解約後は、自動的に振込用紙での支払いに変更されるケースがほとんどです。
とはいえ、タイミング次第では支払い期限に間に合わないといった事態も想定できるため、任意整理の意思が固まった時点でカード会社へ連絡することをおすすめします。
任意整理後でもクレジットカードを更新できた!理由は?
まれに手続き後もクレジットカードを更新できたという方がいるのですが、そのクレジットカードもじきに強制解約となるはずです。
クレジットカードが更新できたのは、事故情報が共有される前に更新・発行手続きが行われたためと考えられます。
そもそもカード会社は、任意整理をした契約者を「滞納のリスクがある人物」として判断します。そのような相手に対してクレジットカードを与えることは、会社に不利益をもたらす恐れがあるのとほぼ同然です。
原則、任意整理をするクレジットカードはカード会社が受任通知を受け取った時点で強制解約となります。(基本的には即日)
任意整理をしないクレジットカードについても、事故情報が共有されればいずれ利用できなくなるでしょう。
任意整理後いつからクレジットカードを作れる?再発行は可能?
任意整理後、新たにクレジットカードを作成できるまでには借金完済から約5年かかると言われています。
再発行が可能かどうかというと、残念ながら同じカード会社および関連会社でクレジットカードを作るのは難しいでしょう。
なぜなら、信用情報機関のブラックリストが削除されたとしても、カード会社や金融機関が独自に管理する事故情報は半永久的に残る可能性があるからです。
補足ですが、信用情報機関に登録される事故情報は、一定の期間が経過すると自動的に削除されるしくみになっています。(具体的な期間は任意整理の場合で約5年、自己破産だと約10年が目安)
任意整理後クレジットカードの審査に通りやすくなるためのコツ
任意整理後、クレジットカードの審査に通りやすくするためのコツが4つあります。
- 信用情報を確認する
- 任意整理した会社以外に申込む
- 多重申込はしない
- キャッシング枠を設定しない
ここからはそれぞれのポイントを詳しく解説します。
①信用情報を確認する
任意整理後5年が経過したからといって、一か八かで申し込んでもクレジットカードを作るのは難しいでしょう。
ブラックリストが削除されるまでには約5年かかるとお伝えしましたが、5年というのはあくまで目安です。ぴったり5年で削除というわけではなく、信用情報が回復したという通知をもらえるわけでもありません。
信用情報は開示請求できるので、完済後5年経過したあたりでブラックリストが削除されたかどうか確認することをおすすめします。
信用情報の開示はネットや郵送、窓口などで手続きできますが、クレジットカードを所有していなければ郵送、または窓口での手続きとなります。(開示方法によって手数料が500〜1,000円かかる)
②任意整理した会社以外に申し込む
信用情報機関に登録される事故情報は、一定期間が経過すると自動的に削除されます。
しかし、カード会社や金融機関が取り扱う情報はこの限りではありません。
債権者としては、お金を回収できないリスクは何としても避けたいと考えます。同じ人物による滞納を防ぐため、カード会社や金融機関は事故情報を半永久的に残していると言われています。
仮に事故情報が残っていたとすれば、同じカード会社でクレジットカードを作成するのは難しいはずです。
以上の理由から、任意整理後は利用したことのないカード会社に申込むことをおすすめします。
③多重申込はしない
短期間で複数のカード会社に申し込むことを「申込ブラック」といい、審査に不利となる場合があります。
多重申込がNGな理由は、何枚ものクレジットカードが必要な状態=経済的に余裕がないと判断されるためです。
信用情報機関が管理するクレジットカードの申込情報は6ヶ月間登録され続けます。クレジットカードを作れれば6ヶ月目以降も記録は残りますが、審査に落ちると6ヶ月で自動的に削除されます。
申込から6ヶ月間はすべての申込情報が記録され続けるため、多重申込があれば不審に思われる可能性が高いでしょう。
④キャッシング枠を設定しない
新たにクレジットカードを作成する際は、キャッシング枠は設定せずに申し込むことをおすすめします。
信用情報が回復すると、これまでのクレジットカードやローンの利用履歴(クレジットヒストリー)はすべて削除されます。
事故情報がなくなれば審査が有利になると思う方が多いのですが、実際はその逆です。クレジットヒストリーが真っ白な状態は過去にブラックリスト入りしていたことを疑われ、審査が不利になると考えられているのです。
キャッシング枠を設定するということは、将来的に借入をする可能性があるととらえられます。カード会社の疑いや不安を解消するという意味では、キャッシング機能をつけずに申し込むのがいいでしょう。
任意整理後クレジットカードが使えない間に代用できるもの
クレジットカードが強制解約されると、その後の支払いは現金が基本となります。
任意整理がお金の使い方を見直すきっかけとなるので、手元にあるお金だけでやりくりする習慣が身に付くでしょう。
支払いの手間を省き決済をスピーディに行いたいという方には、以下のアイテムをクレジットカードの代用品として活用することをおすすめします。
- 決済と同時に口座引落となる「デビットカード」
- あらかじめお金をチャージして使う「プリペイドカード」
- スマホで簡単に決済できる「電子マネー」
デビットカードやプリペイドカードは審査がないので、ブラックリスト入りしている状態でも発行可能です。
クレジットカードは後払いですが、上記は原則として先払い※となります。ポイントや保険などの付帯サービスもあり、クレジットカードとほぼ同じ使い方ができるのも大きなメリットです。
※後払いの電子マネーサービスもある(ポストペイ)
まとめ|任意整理も一定期間が経過すればクレジットカードを所持できる
任意整理後は一時的にブラックリスト入りの状態となるため、今お持ちのクレジットカードはすべて強制解約となります。
信用情報が回復するまでには、任意整理後の残債を完済してから約5年かかります。この間の支払いはデビットカードなどを活用することになりますが、喪明け後にクレジットカードを作成することは可能です。
すでに借金を滞納している状態では、任意整理をせずともクレジットカードが利用停止となる可能性が高いでしょう。それよりも早めに手を打った方が、後々のリスクを最小限に抑えられるはずです。
借金でお困りの方は、一人で悩まずにまずは当事務所までお問い合わせください。ご相談者様一人ひとりの状況に合わせて、最適な解決策をご提案いたします。